<憲法は不磨の大典ではない>
日本が主権を回復して今年で60年が経つ。この間、1度も日本国憲法は改正されていない。世界的に見て、60年間、1度も改正されたことのない憲法を持つ主権国家は日本ぐらいしかない。60年という年月は、人間であれば還暦と同じ年である。
人間は新陳代謝がなければ、体調を壊すことがある。国家の基本法である憲法も時代状況に合う憲法に変えていかなければ、「憲法残って国滅ぶ」が現実の姿となり、国民が不幸になるだけである。
民主党が政権を担うようになって約3年。国会での憲法論議はまったく進んでいない。自民党結党の第1の目的は、自主憲法の制定である。自民党は野党に転落してようやく真剣に憲法改正を目指すようになった。あとは民主党が憲法改正に本気で取り組む意思があるのかないのかが問われている。
<消費税では国は守れない>
野田民主党政権は、消費税問題を政権の最大課題と位置づけ、消費税のアップに向けて、党内外での駆け引きを繰り広げるだけで、憲法改正を政治日程にのせる気などサラサラない。
一方、日本を取り巻く国々(ロシア、中国、韓国、北朝鮮)からは、様々な攻勢(北方領土、尖閣、従軍慰安婦や竹島、ミサイル発射)を仕掛けられている。これらの動きに対して、国家として毅然とした外交・安全保障の基軸を示す上でも憲法改正は必要なのだ。今の憲法では、座して死を待つのと等しい。
憲法前文には、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」とある。この文言に謳われている「平和を愛する諸国民」とはどこの国を指しているのか。ロシア、中国、韓国、北朝鮮が、日本にとっての「平和を愛する諸国民」に入るとは到底思えない。日本を守るためにも、憲法改正は待ったなしの状態なのだ。
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<プロフィール>
濱口 和久 (はまぐち かずひさ)
昭和43年熊本県菊池市生まれ。防衛大学校材料物性工学科卒業。陸上自衛隊、舛添政治経済研究所、民主党本部幹事長室副部長、栃木市首席政策監などを経て、テイケイ株式会社常務取締役、国際地政学研究所研究員、日本政策研究センター研究員、日本文化チャンネル桜「防人の道 今日の自衛隊」キャスター、拓殖大学客員教授を務める。平成16年3月に竹島に本籍を移す。今年3月31日付でテイケイ株式会社を退職し、日本防災士機構認証研修機関の株式会社防災士研修センター常務取締役に就任した。『思城居(おもしろい)』(東京コラボ)、『祖国を誇りに思う心』(ハーベスト出版)などの著書のほかに、安全保障、領土・領海問題、日本の城郭についての論文多数。5月31日に新刊「だれが日本の領土を守るのか?」(たちばな出版)が発売された。 公式HPはコチラ。
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